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【令和8年度調剤報酬改定】処方せん集中率85%の壁を突破し「地域に選ばれる薬局」へ

    まとめ

    令和8年度調剤報酬改定は、薬局経営にとって大きな転換点となります。

    賃上げや物価高騰に対応するための点数引き上げが行われる一方で、「特定の医療機関に依存する立地」への評価はかつてないほど厳しくなっています。

    なぜ「集中率85%」が死守すべきラインなのか、そして集中率を下げるための「面分業」への具体的な対策について解説します。

    今回の改定では、特定の医療機関からの処方箋集中率が85%を超える薬局に対し、評価の引き下げが導入・強化されています。

    令和8年度調剤報酬改定 調剤基本料

    令和8年度調剤報酬改定 調剤基本料 門前減算

    【参照】厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】より抜粋

    ・「門前薬局等立地依存減算」の新設(マイナス15点)
    令和8年6月1日以降に都市部(特別区・政令指定都市)で新規開設される薬局のうち、集中率が85%を超え、かつ病院の敷地近接や周辺に複数の薬局があるなどの条件に該当する場合、一律で15点の減算が適用されます。
    既存薬局には当面の間、経過措置がありますが、店舗の譲渡や承継の際には大きなリスクとなります。

    ・都市部新規薬局の評価引き下げ(基本料2の適用)
    都市部に所在する小規模な新規開設薬局において、集中率が85%を超える、従来の「調剤基本料1(47点)」を算定できず、点数の低い「調剤基本料2(30点)」が適用されます。

    ・大規模チェーンにおける17点の格差
    同一グループの処方箋受付回数が月40万回を超える大規模チェーン(調剤基本料3)では、集中率85%以下であれば「調剤基本料3ハ(37点)」を算定できますが、85%を超える「調剤基本料3ロ(20点)」となり、処方箋1枚あたり17点もの差が生じます。
    ※令和8年度調剤報酬の改定にて、「同一グループの保険薬局の数が300以上」の基準は廃止

    令和8年度調剤報酬改定 処方箋集中率 計算方法見直し

    【参照】厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】より抜粋

    医療モールにおける集中率計算の厳格化
    これまで複数の診療所の処方箋を分散して受けていた医療モール型薬局にとって、最も大きな打撃となるのが「合算ルール」です。
    改定後は、同一建物・敷地内の複数医療機関は「1つの医療機関」と見なして集中率を計算する方法に変更されます。
    これにより、実質的に多くの薬局で集中率が85%を超えることが予想されます。

    国は「患者のための薬局ビジョン」に基づき、2035年までにすべての薬局が立地を地域へ移行させることを目指しています。
    門前医療機関以外からの処方箋を増やすため、具体的にどのような施策に出ると良いのでしょうか。

    ①LINE処方箋送信サービスの活用による「近隣住民」の取り込み
    特定の病院やクリニックの門前に立地していなくても、患者が自宅近くの薬局を選べる環境を整えることが「面分業」の第一歩です。

    利用ハードルの低減
    LINE公式アカウントを活用し、患者が「処方箋の画像をを撮って送るだけ」で受付が完了する仕組みを導入します。

    ・待ち時間の解消
    事前に処方箋を送信し、薬の準備ができてから来局してもらうことで、薬局での待ち時間を大幅に減らすことができます。
    病院の目の前にある薬局ではなく、「帰り道や自宅近くにある便利な薬局」として選ばれるようになります。

    ②服薬フォローアップと再来局の促進
    一度来局した患者を「かかりつけ」として定着させ、どの医療機関にかかっても利用してもらうリピート戦略が重要です。

    継続的なコミュニケーション
    LINEを活用し、投薬後の体調確認や残薬確認(服薬フォローアップ)を定期的に実施します。

    ・かかりつけ機能の強化
    今改定では、かかりつけ薬剤師による電話等での継続的な確認が「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)」として新設されるなど、対人業務の実績が重視されています。

    ③オンライン服薬指導の導入
    薬局へ行くことが困難、仕事や私用で薬局へ行くことが難しいなどといった物理的な距離の制約をなくし、広域からの集患を可能にします。

    ・ビデオ通話による対応
    LINEビデオ通話等を用いたオンライン服薬指導の体制を整えることで、遠方の医療機関を利用する患者や、外出が困難な患者のニーズに対応できます。
    今改定では、オンライン服薬指導料も整理され、活用しやすい環境が整えられています。

    ④デジタル問診票による効率化と満足度向上

    ・滞在時間の短縮
    患者が来局前にスマホで問診内容を入力できるデジタル問診票を導入します。
    薬局内での問診票記入の負担を減らすことで、患者満足度を高めるとともに、事前に問診内容を内容を確認できることから、薬局側の効率化も図れます。

    令和8年度調剤報酬改定は、単なる点数の変更ではなく、「立地依存の薬局」から「地域住民に選ばれる薬局」へのシフトを強力に促すメッセージと捉えられます。

    処方箋集中率85%以下を死守するためには、ITツールを賢く活用し、患者にとっての利便性と専門性を追求する「面分業」へのシフトが不可欠となります。
    まずは、近隣にお住まいの方の処方箋を1枚ずつ積み上げていくことが、安定した薬局経営へつながると考えられます。


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    medi-up編集部
    実務経験のある薬学部出身者などの医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 薬剤師療界の役に立つ情報を発信中。
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