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【令和8年度調剤報酬改定】ベースアップ評価料が薬局求人・採用に与える影響とは?選ばれる薬局の条件

    まとめ

    令和8年6月1日に施行される調剤報酬改定では、薬局経営に大きく関わる新たな評価として、「調剤ベースアップ評価料」が新設されます。

    調剤ベースアップ評価料は、保険薬局で働く薬剤師や事務職員等の賃上げを目的とした評価です。
    保険薬局の薬剤師および事務職員等の確実な賃上げを図る観点から、処方箋受付1回につき4点を算定する「調剤ベースアップ評価料」が新設されるとされています。
    さらに令和9年6月以降は、所定点数の200%に相当する点数で算定されることも示されています。

    今回の改定は、単なる点数の見直しではありません。
    物価高騰への対応、人材確保、若手薬剤師や事務職員の処遇改善など、薬局の求人・採用戦略にも直結する内容と考えられています。

    今改定で新設される調剤ベースアップ評価料は、処方箋受付1回につき4点を算定可能です。
    令和9年6月以降は、所定点数の200%に相当する点数、つまり実質的に8点相当へ引き上げられる予定です。

    令和8年度の医療機関の費用対策を示す資料。『賃上げに向けた評価の見直しと物件費の高騰を踏まえた対応』という見出しと、二つの項目(調剤ベースアップ評価料/物価高騰対応)を説明するページ。

    【参照】令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】 より抜粋

    この評価料の大きな特徴は、単なる薬局収益の上乗せではなく、職員の賃金改善に充てることを前提とした評価である点です。

    厚生労働省は、この制度を通じて薬剤師3.2%事務職員5.7%のベースアップ(基本給や固定手当の底上げ)を目指しています。

    【参照】令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】 より抜粋

    対象職員については、40歳未満の勤務薬剤師や事務職員等が中心とされています。
    一方で、開設者、管理者、業務委託による勤務者は対象から除かれるとされています。

    つまり、今回の調剤ベースアップ評価料は、特に若手薬剤師や薬局事務職員の処遇改善を意識した制度設計といえます。

    今後、薬局の求人・採用市場では、調剤ベースアップ評価料をどのように活用しているかが、求職者から見た重要な判断材料になる可能性があります。

    これまで薬局の求人では、

    ・勤務地
    ・年収
    ・勤務時間
    ・休日数
    ・在宅業務の有無

    などが比較されてきました。

    しかし今後は、これらに加えて、

    ・ベースアップ評価料を算定しているか
    ・対象職員へ適切に還元しているか
    ・賃金改善の方針を明確に示しているか

    といった点も、求職者にとって重要になるでしょう。

    特に、若手薬剤師や事務職員にとって、毎月の給与がどのように改善されるのかは大きな関心事です。
    薬局側が制度内容を理解し、求人票や面接時に丁寧に説明できるかどうかは、採用力に直結する可能性があります。

    今改定で注目したいのが、薬剤師だけでなく事務職員等も賃上げ対象に含まれる点です。

    薬局現場では、受付、レセプト、患者対応、電話対応、在庫管理補助など、事務職員が担う業務は非常に多岐にわたります。
    近年では、医療DXの推進によるオンライン資格確認、電子処方箋、マイナ保険証対応などにより、事務職員の業務負担も増えています。

    その一方で、薬局事務職は他業種と比較して賃金水準が高いとは言いにくく、人材確保に苦労している薬局も少なくありません。

    調剤ベースアップ評価料を活用して事務職員の処遇改善を進めることは、単に給与を上げるだけでなく、薬局全体の業務安定や離職防止にもつながります。

    一方で、注意が必要なのが、管理薬剤師や40歳以上の薬剤師への対応です。

    調剤ベースアップ評価料の対象は、40歳未満の勤務薬剤師や事務職員等が中心であり、管理者や開設者等は除外されるとされています。

    そのため、若手薬剤師や事務職員の処遇改善が進む一方で、責任の重い管理薬剤師や経験豊富なベテラン薬剤師が取り残されたように感じる可能性もあります。
    薬局では30代で管理者を担う薬剤師も多くいます。

    薬局を運営する上で、調剤ベースアップ評価料の対象外となる職員についても、

    ・役職手当
    ・評価制度
    ・賞与
    ・業務負担の見直し
    ・DXによる効率化
    などを組み合わせ、組織全体の理解を得ることが重要です。

    制度上の対象者だけを見るのではなく、薬局全体の人材定着を考えた処遇の設計が求められます。

    今改定以降、薬局の求人・採用では、単に「給与額」を示すだけでは不十分になる可能性があります。

    求職者に安心感を与えるためには、以下のような情報を明確に伝えることが重要です。

    ・調剤ベースアップ評価料への対応方針
    ・対象職員への還元方法
    ・若手薬剤師・事務職員の育成方針
    ・管理薬剤師やベテラン層への評価制度
    ・医療DXや業務効率化への取り組み
    ・働きやすさ、定着支援の仕組み

    特に、採用ページでは、制度対応を「給与改善」だけでなく、職員を大切にする薬局の姿勢として伝えることが大切です。

    処遇改善に前向きな薬局は、求職者から見ても信頼されやすくなります。

    調剤ベースアップ評価料は、薬局の採用市場において、単なる点数項目以上の意味を持ちます。

    今後、求職者は薬局を選ぶ際に、

    ・職員の処遇改善に前向きか
    ・制度改定にきちんと対応しているか
    ・若手や事務職員を大切にしているか
    ・管理薬剤師やベテラン層にも配慮しているか

    といった点を見るようになるでしょう。

    薬局にとっては、調剤ベースアップ評価料への対応そのものが、職を決める重大な要素になります。

    「制度だから対応する」のではなく、職員に長く安心して働いてもらうための仕組みとして活用できるかどうかが、今後の採用力を左右します。

    今改定で新設される調剤ベースアップ評価料は、薬局職員の賃上げを目的とした重要な評価です。
    処方箋受付1回につき4点、令和9年6月以降は200%相当の点数で算定される予定であり、薬局経営にとっても無視できない項目となります。

    一方で、この評価料は単なる収益項目ではありません。
    若手薬剤師や事務職員の処遇改善を通じて、薬局の採用力や定着率を高めるための制度でもあります。

    調剤ベースアップ評価料をきっかけに、職員が安心して働ける環境を整えられる薬局こそが、これからの採用市場で「選ばれる薬局」になっていくのではないでしょうか。

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    medi-up編集部
    実務経験のある薬学部出身者などの医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 薬剤師療界の役に立つ情報を発信中。
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