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【医療DX加算】マイナ保険証の利用率、10月と3月に段階引き上げへ–加算1は「70%」要件に

    まとめ

    令和7年7月23日、厚生労働省は「医療DX推進体制整備加算」に関する新たな方針を公表し、マイナ保険証(オンライン資格確認)の利用実績要件を今年10月と来年3月の2段階で引き上げることを明らかにしました。
    特に注目されるのは「加算1」の算定要件で、令和8年3月には70%以上の利用実績が求められるようになります。

    令和6年6月の診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」は、医療機関や薬局に対し、オンライン資格確認や電子処方箋、マイナ保険証の活用を促すために導入された加算制度です。
    導入後よりマイナ保険証の利用実績を踏まえ、段階的に見直しが進められてきました。

    医療DX加算の推進(202406-202409)

    ※参照※
    厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第613回)議事次第 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて(令和7年7月23日)

    ※参照※
    厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第613回)議事次第 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて(令和7年7月23日)

    ※参照※
    厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第613回)議事次第 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて(令和7年7月23日)

    この加算には段階があり、「加算1」は最も点数が高く評価される区分ですが、同時に求められる体制整備や実績要件も厳しくなっています。

    今回の方針によると、マイナ保険証の利用率について、以下のように段階的に引き上げが行われます。

    医療DX推進体制整備加算・在宅医療DX情報活用加算の見直しについて(案)

    ※参照※
    厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第613回)議事次第 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて(令和7年7月23日)

    この「利用率」は、医療機関・薬局ごとのマイナ保険証での資格確認件数の割合を意味しており、患者側がマイナ保険証を提示・同意しないとカウントされません。

    一部の薬局や医療機関からは、
    「そもそもマイナ保険証を持っていない人が多い」
    「説明しても不安視されて拒否される」
    といった声が上がっており、実績要件の達成が難しい現状もあります。

    特に後期高齢者(75歳以上)は、令和6年12月で従来の健康保険証の発行が終了していることから、マイナ保険証への移行が加速すると見られていますが、地域や年齢層によって対応に差があるのも事実です。

    こうした背景を踏まえ、薬局では次のような取り組みが進められています。

    ・マイナ保険証の使い方を丁寧に案内するPOPや掲示物の設置
    ・店頭での声かけ・操作サポートの実施
    ・「情報提供に同意すると、お薬手帳や特定健診情報も連携できて便利」といった付加価値の周知

    ただし、「マイナ保険証の提示=義務」ではない点を患者に理解してもらいつつ、自然な形で同意を得るコミュニケーションが求められています。

    マイナ保険証の利用率が算定要件に含まれることで、算定可否が施設の収益に直結する構造となりました。
    しかし、点数確保のためだけでなく、データヘルス・重複投薬防止・医療連携といった医療DX」の本来の目的を意識した運用が求められます。

    また、今後は政府によるさらなるマイナ保険証の利用促進策や、患者向けのインセンティブ制度が出てくる可能性もあり、医療現場だけに負担が集中しないような制度設計が求められます。

    このような要件強化の流れは、医療機関の「本気度」が問われる転換点とも言えます。
    単なる制度対応ではなく、「マイナ保険証が便利だ」と患者自身に実感してもらえるような工夫が、医療DX成功のカギを握るのではないでしょうか。

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    medi-up編集部
    実務経験のある薬学部出身者などの医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 薬剤師療界の役に立つ情報を発信中。
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