老後資金の準備や資産運用を考える際、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)は有力な選択肢です。
2024年からNISA制度が新しくなり、より多くの投資額や非課税期間が拡充されました。
では、iDeCoと新NISAのどちらを優先して始めるべきなのでしょうか?
この記事では、両者の特徴を比較し、どのような状況でどちらを選ぶべきかを解説します。
1. iDeCoと新NISAの基本的な違い
まず、iDeCoと新NISAの基本的な違いを理解することが重要です。
iDeCoは、老後資金を積み立てるための制度で、掛金が全額所得控除の対象となります。自分で掛金を出して運用し、60歳以降に年金や一時金として受け取ることができます。税制優遇が大きい反面、60歳まで資金を引き出せないという制約があります。
新NISAは、投資の利益に対する税金を非課税にする制度です。2024年からの新NISAは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」に分かれ、年間投資上限額が大幅に引き上げられ、より長期にわたって資産運用を非課税で行えるようになっています。自由に資金を引き出せるため、柔軟に資金運用を行いたい人に向いています。
2. 節税効果を比較
iDeCoの節税効果は非常に大きく、掛金が全額所得控除の対象になるため、拠出した金額に応じて所得税と住民税が軽減されます。
例えば、年収500万円の人が月額2万円のiDeCoに加入すると、年間で約4万円〜6万円の節税が可能です。
このため、iDeCoは特に高所得者にとって強力な節税ツールとなります。
一方で、新NISAには所得控除のような直接的な節税効果はありません。
しかし、投資から得られる利益(配当金や売却益)が非課税になるため、投資のパフォーマンスが高ければ非常に大きな利益を非課税で得ることができます。
特に長期にわたる資産運用を考えている場合、非課税のメリットは無視できません。
3. 資金の流動性
iDeCoの大きなデメリットは、60歳まで資金を引き出すことができない点です。
したがって、老後資金の準備が目的であれば最適ですが、急な出費やライフイベントに備えるための資金としては不向きです。
資産を一度iDeCoに投入すると、60歳になるまで手をつけることができないため、流動性が低いと言えます。
これに対して、新NISAは自由に資金を引き出すことができるため、短期的な資産形成やライフイベントに対応するための資金としても活用できます。
たとえば、教育資金や住宅購入など、10年〜20年程度の中期的な資金の運用に新NISAは非常に適しています。
4. 運用商品の違い
iDeCoと新NISAでは、選べる運用商品にも違いがあります。
iDeCoでは、加入する金融機関によって提供される運用商品が異なります。一般的には、定期預金や投資信託、保険商品などが選べますが、選択肢が少ない場合もあります。また、iDeCoは基本的に長期運用を前提としているため、比較的リスクの低い商品が中心です。
新NISAは、個別株やETF(上場投資信託)、投資信託など、幅広い商品を自分で選んで運用できます。特に、成長投資枠ではリスクの高い成長株や高リターンを狙える商品にも投資できるため、積極的な運用を考えている人に向いています。
5. 老後資金準備を優先するならiDeCo
老後資金をしっかりと準備したい場合、まずiDeCoを優先するのが賢明です。
iDeCoの最大のメリットは、老後資金のための強制的な積み立てができる点と、大きな節税効果です。
長期間の運用によって運用益が積み上がる上、掛金全額が所得控除になるため、特に税金面でのメリットは無視できません。
また、iDeCoは老後資金専用の制度であるため、他の資金用途に流用できないという点も、老後資金をしっかり確保するためには有効です。
資産を確実に老後に残すための手段としてiDeCoは非常に強力です。
6. 柔軟に運用したいなら新NISA
一方で、資金を柔軟に運用したい場合や、老後だけでなく中期的な資産形成を考えている場合は、新NISAを優先する方が良いでしょう。
新NISAは非課税期間が長く、いつでも資金を引き出せるため、ライフイベントに合わせて資金を活用することができます。
また、個別株やリスクの高い成長株に投資したい場合、iDeCoよりも新NISAの方が選択肢が広く、リターンを追求しやすいです。
特に、積極的に資産を増やしたい人や、投資の自由度を重視する人には新NISAが向いています。
7. 両方活用することも可能
iDeCoと新NISAは、どちらか一方を選ぶ必要はありません。
実際には、両方を併用することで、より効果的な資産形成が可能です。
iDeCoで老後資金をしっかりと積み立てつつ、新NISAで中期的な資産運用やリスクを取った投資を行うことで、短期・中期・長期のバランスの取れた資産形成を目指すことができます。
たとえば、まずはiDeCoで年間の掛金を最大限まで拠出し、その後、余裕資金があれば新NISAで投資を行うという戦略が考えられます。
こうすることで、老後資金の確保と税制優遇の両方を効率よく活用できるのです。
8. まとめ
iDeCoと新NISAのどちらを優先して始めるべきかは、資産運用の目的やライフプランによって異なります。
老後資金を着実に準備し、節税効果を最大限に活用したい場合はiDeCoを優先するのが賢明です。
一方で、資金を柔軟に運用し、投資の自由度を重視するなら新NISAが適しています。
ただし、どちらか一方だけでなく、両者を併用することも可能です。
自分の資産運用の目標やライフステージに合わせて、iDeCoと新NISAを上手に活用することで、より効果的な資産形成を目指しましょう。
追伸 iDecoは個人型確定拠出年金というぐらいなので「老後資金の積み立て」として、NISAは少額投資非課税制度なので「投資をするための手段」として、利用するのがいいと思います。 ですが、iDecoは拠出金が所得控除されるのに対し、NISAの投資資金は、税金や各種保険料等が控除された手取りの中から用意する必要があり、節税効果という面ではiDecoに分があります。 このように、iDecoとNISAはそれぞれ性質が異なる制度ですので、老後資金はiDecoで、余剰資金はNISAで、運用していくのがいいのではないでしょうか。 これまでご紹介した小規模企業共済や経営セーフティ共済などもあり、フリーランスでは多くの節税の可能性があります。 |
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