まとめ
令和6年10月からスタートした長期収載品、いわゆる先発医薬品の選定療養の仕組み。 しかし、令和7年4月の薬価改定で一部の先発医薬品の薬価が後発品よりも安くなる「薬価逆転」が発生し、選定療養の対象から外れるケースが出てきました。 【参照】長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養の対象医薬品について 令和7年4月1日から 対象医薬品リスト 代表的な例が、抗アレルギー薬「アレグラ錠60mg」です。 「後発品に切り替えた方が安い」と患者に説明してきた薬局の現場では、薬価逆転により「なぜ今まで後発品を勧められたのか?」と疑問を持たれる可能性があり、対応が難しくなっています。 薬価改定による影響や、薬局の対応策を詳しく解説します。 |
選定療養とは、後発医薬品がある先発医薬品(長期収載品)を患者が希望する場合に、差額の一部を自己負担する制度です。
令和6年10月から開始され、先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1を患者が負担する仕組みになっています。
この制度の目的は、後発医薬品の使用を促進し、医療費を適正化することでした。
【過去記事】

【令和6年度調剤報酬改定】いよいよ始まる、選定療養
しかし、令和7年4月の薬価改定では、一部の長期収載品(先発品)の薬価が後発品よりも安くなることが判明しました。
その結果、これらの先発品は選定療養の対象外となり、患者は追加負担なしで使用できるようになります。
具体例:アレグラのケース
令和7年4月の薬価改定後、アレグラ錠60mgの薬価が後発品より低くなることが分かっています。
これにより
・患者はアレグラを追加負担なしで選択可能
・「先発品=高い」という従来の説明が通用しなくなる
・薬局は「後発品が安い」というこれまでの説明を修正する必要がある
薬局の現場で発生する課題としては、以下のようなことが考えられます。
患者への説明が難しくなる
これまで「後発品は安く、成分が同じなので安心」と説明していた薬局では、「ではなぜ、今まで後発品を勧められたのか?」と患者から質問される可能性が高まります。
特に、これまで後発品に切り替えた患者が「やっぱり先発品に戻したい」と考えるケースも想定され、薬剤師は患者に納得のいく説明を求められます。
後発品の使用促進にブレーキがかかる
政府は「後発品の使用促進」を推進していますが、先発品の方が安くなると、その方針と矛盾してしまいます。
患者「後発品にする意味がないなら、先発品のままでいいのでは?」
医療機関「患者負担が変わらないなら、処方を変更する必要はない?」
このような疑問が生じ、後発品の普及に影響を及ぼす可能性があります。
薬局が取るべき対応策としては
価格変動について丁寧に説明する
薬価は定期的に見直されるため、「現在は先発品の方が安くても、将来的に再び逆転する可能性がある」ことを患者に説明することが重要です。
説明のポイントとしては
「薬価改定により、一時的に先発品の方が安くなることがあります」
「今後の改定で価格が再び変わる可能性があります」
「薬の選択は価格だけでなく、安定供給や処方の継続性も考慮しましょう」
このようなことが挙げられます。
医療機関と連携し、処方の適正化を検討
・医師と情報共有し、「どの医薬品を優先的に処方すべきか」を検討する
・薬価逆転が発生した医薬品について、患者の混乱を防ぐための統一した説明を医療機関と調整する
患者に選択肢を示し、長期的な視点で説明する
患者が一時的な価格だけで選択しないよう、長期的な薬価の変動や供給状況についても説明することが重要です。
令和7年4月の薬価改定により、「薬価逆転」による選定療養対象外の先発品が出てきます。
特に、アレグラのような例では、患者に対する説明の難しさや、後発品使用促進の方針との矛盾が課題となります。
薬局としては、
・薬価改定の影響をわかりやすく説明する
・医療機関と連携し、処方の適正化を図る
・患者の選択を尊重しつつ、今後の薬価変動も考慮する
ことが重要です。
薬価改定は毎年実施されており、影響は今後も続きます。
最新情報を把握し、薬局、薬剤師として柔軟に対応していく必要があります。

【令和6年度調剤報酬改定】特管3の「ロ」、選定療養についても算定可能
