まとめ
令和7年4月より医療DX推進体制整備加算の点数が引き上げられることになりました。 その中で、施設基準として注目されているのが「電子処方箋の導入」です。 しかし、データの不一致やシステムエラーなどのマイナス面も指摘されており、スムーズな導入が求められています。 |
政府が推進する「医療DX」の取り組みの中で、電子処方箋の導入は重要な柱のひとつです。
電子処方箋とは、従来の紙の処方箋に代わるによりデジタル処方箋システムです。
これにより、医療機関と薬局間の情報共有がスムーズになり、重複投薬や薬剤の相互作用によるリスクを軽減できます。
患者の安全性の向上や、薬剤の適正使用を目的として、国が電子処方箋の導入を推進しています。
医療DXの推進を目的として、医科・歯科・薬局の診療報酬に「医療DX推進体制整備加算」が設定されています。
これにより、デジタル技術を活用した医療の効率化と質の向上が求められています。
電子処方箋の導入やマイナ保険証の利用率が、加算の要件となるため、医療機関や薬局では体制整備が急務となっています。
令和6年中は、マイナ保険証の利用率向上がメインとされ、医療機関・薬局におけるマイナンバーカードの保険証の利用促進が求められていました。
しかし、令和7年4月からの見直しでは、新たに電子処方箋の導入が算定要件として追加されました。
これにより、医療機関や薬局の対応がより重要になっています。
【参考】厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第603回) 総-8-3答申について(医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し)
医科・歯科においては、電子処方箋を導入の有無で点数区分が分かれています。
これにより、電子処方箋の導入が進められている施設として有利な評価を受けることができます。
薬局では、電子処方箋の受け付け体制が整備されていないと算定要件を満たさない内容となりました。
今後、加算算定を目指す薬局では電子処方箋の受け付け体制整備が急務となっております。
また、電子処方箋の導入には、マイナ保険証の利用率向上が不可欠といえます。
なぜなら、電子処方箋のシステムはマイナ保険証利用と連携する仕組みになっているためです。
マイナ保険証の利用率が低いと、電子処方箋の普及がなかなか進まず、医療DXを進める上での不安材料になります。
そのため、医療機関や薬局では、患者に対してマイナ保険証の利用を積極的に増やす必要があります。
マイナ保険証の利用推進については、各医療機関で進めてこられている一方で、利便性の向上など、まだ課題も多く残るところです。
さらに、電子処方箋の導入をためらう医療機関からの声にも耳を傾ける必要があります。
薬局では、令和7年3月末までに8割程度の導入が見込まれますが、医科・歯科などの医療機関への普及率は1割程度と言われています。
電子処方箋システムの一斉点検なども実施されましたが、安全面での懸念が払拭できないことも事実です。
今後は、医療機関が電子処方箋をより利用しやすく、安全に運用できる環境の整備が重要となります。
電子処方箋を導入する意義や、利便性・安全性が担保されれば、自ずと普及率は向上すると考えられます。
適切なシステム導入や運用ルールの策定を進め、医療DXの推進を加速させることが求められています。