FDA(米食品医薬品局)は11月15日、クラミジアと淋病の初の自宅用検査キットであるSimple 2 Testの販売認可をLetsGetChecked社に付与したことを発表した。この許可を受け、18歳以上の成人は、同検査キットをOTC医薬品として薬局で購入できるようになる。自宅で検体を採取する性感染症の検査法としてFDAに認可されたのは、HIV以外では初めて。
自宅での健康管理に焦点を当てたグローバルヘルスケアソリューション企業であるLetsGetChecked社は、Simple 2 Testを99ドル(1ドル148円換算で1万4,652円)で販売している。検査を受けたい人は、自宅で膣スワブ(クラミジア検査用)または尿(淋病検査用)を採取し、オンラインで健康に関する質問票に回答した上で、指定の検査機関に採取した検体を送る。同社によると、検査結果は2〜5日で、オンラインで通知される。検査結果が陽性または無効であった場合には、医療従事者がフォローアップすることになっている。
FDAは、認可プロセスの一環として、Simple 2 Testに含まれている採取キットを、Hologic Aptima 2 Combo Assay(アプティマCombo 2検査)と併用するという前提で検証した。また、LetsGetChecked社のデータを用いて、一般の利用者がキットを安全に使用でき、結果の判明後に取るべき適切な行動を理解できるかを評価するとともに、Simple 2 Testの検体採取キットを使ってクラミジアまたは淋病の検査を行った場合の精度についても検証した。
Simple 2 Test使用に伴うリスクとしては、偽陽性や偽陰性の結果が出る可能性のあることが挙げられる。偽陰性の結果は治療の遅れにつながるため、疾患の進行や他人への感染拡大を招く恐れがある。一方、偽陽性の結果は、クラミジアや淋病の不適切な診断や不必要な治療につながり、患者に精神的苦痛をもたらしたり、正しい診断が遅れたりするほか、不必要な治療にかかる費用や治療に伴う副作用の発生も懸念される。
FDAのCDRH(医療機器・放射線保健センター)センター長のJeff Shuren氏は、「Simple 2 Testの販売認可が下りたことで、患者は自宅でプライバシーを守りながら自身の健康に関する新たな情報を得ることができるようになる。この意味で、今回の認可は、公衆衛生に大きな進展をもたらしたと言える。われわれは今後も、より多くの人が診断検査にアクセスするためのサポートを積極的に行い、より多くの医療を自宅にもたらすという目標を前進させたいと考えている。」と述べている。
自宅用検査キットが一般的になると、患者の受診の手間省略、プライバシー保護、医療従事者の負担軽減等大きなメリットが得られる。その一方で、使用方法や注意点の指導、検査結果のフォロー等、薬剤師は地域の患者・住民のニーズに対応していくことがさらに求められるだろう。