まとめ
1月26日、中央社会保険医療協議会より令和6年度 診療報酬改定の短冊が発表されました。 令和6年度診療報酬改定は、医療DXの推進による医療機関・薬局や、改定に対応するシステムベンダーの負担を軽減するため、例年より2か月後ろ倒しの6月1日に施行されます。 前回改定より言われていた薬局・薬剤師の対人業務について、より推進された改定内容となりました。 |
【Ⅲ-7薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病院薬剤師業務の評価-①】の項目において、服薬管理指導料の加算である特定薬剤管理指導加算1(いわゆるハイリスク薬の管理指導加算)の算定要件が変更になりました。
具体的には
・新たに処方された患者に対して必要な指導を行った場合
令和6年1月26日 中央社会保険医療協議会 総会(第581回)議事次第 653−654ページより引用
・用法又は用量の変更、患者の副作用の発現状況の変化等に基づき薬剤師が必要と認めて指導を行った場合
現行では、ハイリスク薬が処方される毎に必要な指導を行なうことで算定可能です。
この内容を見て「新規処方か処方変更の時しか加算が算定できない」と思った方もいると思います。
しかし、新規処方時の指導や、用法・用量の変更、副作用発現などの確認については、ハイリスク薬の処方有無に関わらず実施しているはずです。
「薬剤師が必要と認めて」の文言を、どのように捉えて、算定可否の判断をするかではないでしょうか。
さらに、特定薬剤管理指導加算3が新設されました。
算定要件として明記されているのが、以下の項目です。
・RMP(Risk Management Plan)に係る情報提供資材を活用し、副作用、併用禁忌等の当該医薬品の特性を踏まえ、適正使用や安全性等に関して十分な指導を行った場合
・緊急安全性情報、安全性速報が新たに発出された場合に、安全性に係る情報について提供及び十分な指導を行った場合
・後発医薬品が存在する先発医薬品であって、一般名処方又は銘柄名処方された医薬品について、選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者に対して説明を行った場合
・医薬品の供給の状況が安定していないため、調剤時に前回調剤された銘柄の必要な数量が確保できず、前回調剤された銘柄から別の銘柄の医薬品に変更して調剤された薬剤の交付が必要となる患者に対して説明を行った場合
令和6年1月26日 中央社会保険医療協議会 総会(第581回)議事次第 個別改定項目(その1)について 655-657ページより引用
服薬情報等提供料2の算定要件には、
・リフィル処方箋に基づく調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合
・介護支援専門員に必要な情報を文書により提供した場合
の2項目が新設されました。
服薬情報等提供料については、算定が難しいと捉えている現場も少なくないと思います。
しかし、日頃から患者さんやご家族、介護者などと向き合っている薬剤師からの情報提供が必要であると認められている以上、積極的に取り組みたいところです。
患者さん個々の背景に合わせた服薬指導や情報提供は、これからの薬局にとって必要不可欠です。
そのためには、ひとりひとりの薬剤師が様々な知識や経験を積み上げ、判断できる力を養っていくことが求められるのではないでしょうか。