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経営セーフティ共済を上手に活用する方法と、上限800万円積立後の出口戦略②

    法人の出口戦略

    1.任意解約と再加入
    2024年9月までは再加入という選択によって、再加入の年でも最大で480万円の掛金拠出により大きく節税することが可能でした。
    しかし、2024年10月以降、税制改正によりこの再加入の出口戦略は使えなくなります。

    2.任意解約と赤字の補填
    例えば役員や従業員の退職金が計上される、減価償却資産の一括償却で大きな減価償却費を計上できる、売上が思わしくなく大きな赤字が出そう、などの場合に、この年に任意解約をすることで課税所得となっても、退職金や減価償却費や赤字により相殺され、実際の解約返戻金より少ない課税所得となり支払う法人税額を減少させることができます。

    3.掛金の資産計上
    これまで経営セーフティ共済の掛金は、法人の場合損金として計上できるとお伝えしてきました。
    これはこの通りなのですが、損金として計上すると損益計算書に保険料などの勘定科目で表示され、営業利益以下の利益額が減少します。

    こうすると、銀行等に決算書を提出する際に見栄えが悪くなり、融資審査の際に影響しないとも言えません。

    例えば、経営セーフティ共済の掛金を損金として計上しているがために赤字決算になってしまったとなると、経営成績は赤字になり、かつ、この赤字が貸借対照表の純資産の項目に影響し純資産を減らしてしまうことになります。
    会社の経営成績(損益計算書)も財務成績(貸借対照表)も悪化し、融資審査に影響することが考えられます。

    このため、経営セーフティ共済の掛金を資産計上(貸借対照表に記載)することによってこの影響を低減することをお勧めします。

    具体的には税務顧問への相談が必要となりますが、法人税申告書別表四・別表五に記載することで実際に法人税を計算する際に、損金計上したときと同様となり法人税の負担額も変わりません(詳細は税務顧問にご相談くださいね)。

    このように一手間かかってしまうのですが、これをすることで

    ①損益計算書上は赤字になりにくく黒字額も大きくなる
    ②資産計上することにより純資産額が増加し、融資審査を有利に進めることができる

    という大きなメリットがあります。

    個人事業主(継続して事業を継続している)の出口戦略

    1.任意解約と再加入
    個人事業主においても、2024年9月までは再加入という選択によって、再加入の年でも最大で480万円の掛金拠出により大きく節税することが可能でした。
    しかし、2024年10月以降、税制改正によりこの再加入の出口戦略は使えなくなります。

    2.任意解約と赤字の補填
    例えば、減価償却資産の一括償却で大きな減価償却費を計上できる、売上が思わしくなく大きな赤字が出そう、などの場合に、この年に任意解約をすることで課税所得となっても、減価償却費や赤字により相殺され、実際の解約返戻金より少ない課税所得となり支払う所得税額を減少させることができます。

    3.法人設立による新規加入
    個人事業主として積立額が上限の800万円になった場合、任意解約せずに積み立てたままにしておくことも可能です。

    この際、法人を設立し、法人名義で新たに経営セーフティ共済に加入することができます。
    これにより、個人としての積立上限に達した後も、法人として新たな積立を開始し、さらなる節税効果を得ることができます。
    (新法人としてのセーフティ共済への加入は1年分の決算関連書類が必要となるため実際には2年目以降)

    ですが、個人としての積立額を法人に移行するというものではないため、任意解約のタイミングを見計らう必要があります。
    ここで法人設立初年度の役員報酬をゼロにし、初年度の収入を個人事業主として積み立てた800万円を任意解約することで薬剤師としての収入以上の解約返戻金を受け取ることができるため、法人設立初年度でも大きな黒字化に近づきます。

    4.1年間のバカンス・留学など自分の時間にするための貯蓄
    個人事業主として、経営セーフティ共済の上限の800万円まで拠出したら、これを年始のタイミングで解約します。
    すると、800万円の収入となりますが、この1年はバカンスを楽しんだり、留学をしたり、リスキリングなどの自己投資に充てる1年とすることができます。

    フリーランス薬剤師は有給や社会保障などのセーフティネットがないのですが、逆に言えば組織に雇用されているわけではなく、主従関係もないため、誰に遠慮することなく1年間の長期休暇を取得することができます。
    (もちろんこの間に就業して収入を得てもいいのですが、所得税が上がってしまうので勿体無いですね。)

    仕事をしなくても800万円の収入があるわけですから、これまでの貯蓄と合わせて、それなりに自分の生きたい人生を生きることができるのではないでしょうか。

    もちろん、800万円に相当する所得税や住民税は発生しますが、それでも仕事をせずとも得られるお金(これまでの貯蓄)であり、自分のために使うことができるので、素晴らしい1年を過ごすことができると思います!

    2024年10月以降は税制改正により、再加入により掛金を所得控除できるのは2年後となるため、20XX年年初に解約すると、20XX+2年年始から再加入し拠出金を所得控除していくことになります。

    その結果、毎月の上限である20万円ずつを拠出しすると、40ヶ月(3年4ヶ月)で拠出上限となるため、最短で20XX+6年年初には同じように解約返戻金を受け取り、1年間の長期休暇を取得することができますね!!

    まとめ

    経営者・事業者として、経営セーフティ共済のメリットを最大限に引き出し、企業の安定経営・事業の安定運営を目指すために、計画的な積立と適切な出口戦略を検討・実践してください。
    こういう制度を知っているか否かで、会社や事業を守ることにつながるのはもちろん、自分自身の人生を豊かにすることもできます。せっかくある制度です。賢く利用してください。

    追伸

    経営セーフティ共済の本来の目的は、債権回収が困難になった際に借り入れができ急場を凌ぐことができるということです。
    昨今、調剤薬局の経営破綻や民事再生等のニュースが増えてきましたが、この背景にはM&Aによる規模拡大があります。
    規模拡大を目指すことは経営判断として否定されるものではありませんが、M&Aでの高値掴みや仲介手数料の高騰、調剤報酬の抑制基調や薬価差益の減少によって、想像以上に買収投資額の回収が難しくなっているという背景もあります。

    こういった背景をしっかり理解しておけば、フリーランス薬剤師として業務を受けている薬局に万が一のことがあった場合に、業務委託料が満額支払われるとは限らず、寧ろ回収できないということが起こり得ます。
    こういう時のために、経営セーフティ共済という制度があります。

    しかし、これには合法的に節税や一種の保険積立として利用することができるという背景があり、これを上手に活用することで経営セーフティ共済を利用しない方よりお得になることがあるかもしれませんね!

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