まとめ
令和6年10月より導入された後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養の仕組み。 選定療養費が発生することをきっかけに、薬剤師からは後発医薬品へ変更する患者が増えているとの声が多く聞かれます。 実際に、後発医薬品使用率への影響はあるのでしょうか。 |
シミックホールディングス株式会社のグループ会社であるharmo株式会社が、令和6年10月9日に公開したホワイトペーパー「【速報】後発品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養制度の動向(第一弾)」によると、初週で後発医薬品使用率が4.4%上昇したとの報告がありました。
参照サイト:https://www.harmo.biz/news/tgfj/
この数字を見ると、全国の薬局で後発医薬品の使用割合への影響が出ていると考えられます。
選定療養の仕組みは、
先発医薬品(長期収載品)に対して、後発医薬品がある場合に患者が自ら選ぶ制度です。
これにより、患者が選択の余地を持つと同時に、医療費の削減や後発医薬品の使用促進が狙われています。
また、患者希望で先発医薬品を選択した場合には、特別の料金を負担することとなっています。
制度を導入した背景について、厚生労働省は
以上のように説明をしています。
11月もしくは12月には、後発医薬品調剤体制加算の区分変更が適用される薬局も出てくる見込みです。
後発医薬品を積極的に扱う薬局が優遇され、後発医薬品の使用率はさらに向上することが予想されます。
しかし、現時点では医薬品の供給に関する不安も残っています。
選定療養を機に、後発医薬品への変更を希望する患者に応えるべく、在庫を揃えようと尽力する薬剤師は増えたと思います。
医薬品の供給停止や販売中止なども多く、この問題が患者や医療機関に影響を与えています。
一方で、12月には新たな後発医薬品の発売が予定されており、これにより後発医薬品の選択肢が広がり、使用率がさらに増加する可能性が高いと見られます。
今後の動向としては、医薬品供給の安定化が前提となりますが、制度改革により後発医薬品の普及が進んでいくことが期待されます。
現場にいる薬剤師には、制度の変更や、新たな仕組みの導入には、医療財政の圧迫を回避し、国民皆保険制度を維持していくことが目的であると、患者に対して理解を求める必要がありそうです。