まとめ
能登半島地震から1か月近くが経過しました。 その1つが医療用医薬品の供給問題です。 今回の被災地となった北陸地方は、医薬品メーカーや製造工場が多い地域として知られています。 |
能登半島地震により供給に影響が及んでいる医療用医薬品として
・日東メディック:発災当初より冷所保存品を除く全品目において出荷停止(現在は再開)
・参天製薬『コソプトミニ点眼液』:能登工場が被災したことによる出荷調整
・三和化学研究所『ケトプロフェンテープ』『ケトプロフェンパップ』:製造元が被災したことから出荷停止
・武田テバ薬品『タケルダ配合錠』:製造委託元における入荷遅延が発生したことから限定出荷
他にも、キョーリンリメディオの『ゾルピデム酒石酸塩錠』『タダラフィル錠CI』(令和6年1月23日に解除)、ビオメディクスの『ケトプロフェンテープ』などが出荷停止になっています。
過去の災害を振り返ると、平成23年3月の東日本大震災においても、製造工場の被災などが原因で医療用医薬品の出荷停止となり、長期間に渡り影響を及ぼしました。
・あすか製薬いわき工場が被災。『チラーヂンS』の出荷が停止。
2011年03月18日 (金)薬事日報 HEADLINE NEWS【東日本大震災】あすか製薬いわき工場被災でチラーヂンの製造停止‐緊急輸入など代替措置急ぐ より引用
・アボットジャパン『エンシュア・リキッド』『エンシュア・H』容器の缶を製造している仙台工場が被災し、製造が中断。
2011年04月06日 (水)薬事日報 HEADLINE NEWS【東日本大震災】経腸栄養剤が5月まで不足‐過剰在庫控え在宅療養患者に優先使用 より引用
・久光製薬宇都宮工場が被災。『モーラステープL40mg』の製造が停止。
久光製薬株式会社 CSR報告書2011より 一部抜粋
供給再開までは、被災していない地域での代替製造や、海外からの緊急輸入品などの超法規的措置による対応が迫られました。
医療用医薬品の出荷調整については、ジェネリックメーカーの不祥事、コロナ禍における原材料の仕入れ困難などの理由で、年単位で続いています。
日本製薬団体連合会 安定確保委員会が2024年1月に出した「医薬品供給状況にかかる調査(2023年12月)」 についてによれば、約30%の医療用医薬品が何らかの理由で限定出荷もしくは供給停止となっています。
2024年1月 日本製薬団体連合会 安定確保委員会「医薬品供給状況にかかる調査(2023年12月)」 について より抜粋
X(旧Twitter)などのSNS上で「出荷調整」というワードが度々話題となることから、医療現場にもたらす影響が大きいことがうかがえます。
今回の能登半島地震についても、医薬品供給体制への影響が懸念されますが、何より、一刻も早い被災地の復興を願っています。