まとめ
令和6年7月17日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会 総会は、6月より新設された「医療DX推進体制整備加算」について、武見敬三厚生労働大臣の諮問を受け、10月からマイナ保険証利用率によって3段階に再編する答申をしました。 医療DX推進体制整備加算は、調剤では現行の4点から、マイナ保険証の利用率に応じて7点、6点、4点となります。 |
「医療DX推進体制整備加算」は、医科・歯科・調剤すべての報酬改定で新設されたこともあり、当初から注目されていました。
同時に、令和6年10月までの経過措置とされていた「一定程度(●%)以上のマイナ保険証の利用実績」については、何%に設定されるのか、発表が待たれていました。
令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】厚生労働省保険局医療課(令和6年3月5日版)22ページより抜粋
今回の発表により、10月1日からは施設基準として、マイナ保険証利用率の実績が設定されます。
中央社会保険医療協議会 総会(第592回)資料 総−9答申について(医療DX推進体制整備加算及び医療情報取得加算の見直し)より引用
調剤報酬における具体的な点数として
・医療DX推進体制整備加算1 7点(現行+3点)
・医療DX推進体制整備加算2 6点(現行+2点)
・医療DX推進体制整備加算3 4点(据え置き)
と設定されています。
ひとつ注意したい点が、マイナ保険証利用率の実績は、適用期間令和6年10月〜および令和7年1月〜では異なっています。
答申書附帯意見(案)を見ても
1 医療DX推進体制整備加算に係る令和7年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件の設定に当たっては、令和6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえ、本年末を目途に、マイナ保険証の利用状況、保険医療機関・保険薬局における利用促進に向けた取組状況等、実態を十分に勘案した上で検討、設定すること。
2 医療DX推進体制整備加算について、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスの整備状況や運用の実態等を十分に確認した上で、評価のあり方及び必要な対応について検討すること。
現行の保険証発行が廃止される令和6年12月以降、より高いマイナ保険証利用率が求められると考えられています。
一方で、マイナ保険証の利用が進まない現状もあります。
中央社会保険医療協議会 総会(第 592 回) 議事次第 62ページより抜粋
令和6年6月の「施設類型別のマイナ保険証利用率の推移」を見ても、最も利用率が高い病院で19.19%、薬局においては9.61%。
残念ながら、薬局は10%に満たない状況です。
令和6年7・8月〜のマイナ保険証利用実績が5%に満たない場合は、10月からの医療DX推進体制整備加算の算定は0になってしまいます。
医療DX推進体制整備加算は、調剤基本料の加算であることから、貴重な収入源であると考える薬局は多いと思います。
マイナ保険証利用については、
・スタッフの制度に対する理解の周知
・声かけ、ポスター掲示、チラシ配布
・カードリーダーの使用を一緒に行なう・・・など
継続した取り組みで、利用率を上げている事例も報告されています。
現行の保険証発行が廃止されれば、自ずとマイナ保険証利用へシフトされることは推測されます。
しかし、自然に切り替わる前に、一度でもマイナ保険証利用をして、利便性が高いものであることを利用者に感じてもらうことも医療機関の努めであると考えられます。