まとめ
令和8年度(2026年度)の調剤報酬改定に向けた議論が本格化しています。 令和8年1月23日、厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第644回)で、これまで後発医薬品の使用促進を評価してきた「後発医薬品体制加算」は廃止を前提とした見直しが明確に示されました。 一方で、薬局の地域での役割や医薬品の安定供給体制を評価する枠組みとして、「地域支援体制加算」は「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へと改められる方向性が示されています。 |
参照:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第644回)個別改定項目について(その1)(令和8年1月23日)より抜粋
後発医薬品体制加算は、薬局における後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用割合が一定基準を満たしている場合に算定できる加算です。
長年にわたり、国が進めてきた後発医薬品使用促進政策の中心的なインセンティブとして機能してきました。
しかし現在、薬局における後発医薬品使用割合は全国平均で9割を超える水準に達しています。
制度創設時の目的であった「使用促進」はすでに達成されており、使用割合という量的評価を継続する意義は薄れていると判断されるようになりました。
後発医薬品体制加算の廃止が検討された背景には、医薬品供給を取り巻く環境の大きな変化があります。
・後発医薬品を中心とした供給不安・出荷調整の長期化
・使用割合を維持するための薬局現場の業務負担増加
・「使用促進」よりも安定供給確保が最優先課題となっている現状
このような状況下で、後発医薬品の使用割合のみを評価する制度は、現場の意見を反映しているとは言い難いところにあります。
厚生労働省は、後発医薬品を「使わせる」から、「安定的に使い続けられる体制を守る」方向へ舵を切ったといえます。
参照:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第644回)個別改定項目について(その1)(令和8年1月23日)より抜粋
令和8年度改定に向けて、地域支援体制加算は「地域支援・医薬品供供給対応体制加算」へ見直される方向が示されています。
これは単なる名称変更ではなく、今までの「地域支援」という概念に、医薬品の安定供給に対する薬局の責務を明確に位置づけた評価体系への転換を意味します。
後発医薬品の供給不安が常態化する中で、
・代替薬の選定・確保
・卸・医療機関・他薬局との調整
・患者への説明・理解促進
多くの薬局が、このような役割を担い、負担を強いられたと思われます。
新たな加算では、こうした医薬品供給対応の実務そのものが評価対象となると考えられます。
参照:厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第644回)個別改定項目について(その1)(令和8年1月23日)より抜粋
地域支援・医薬品供給対応体制加算では、次のような観点がより重視される可能性があります。
・医薬品供給不足時の代替薬提案・対応体制
・医師・他薬局・卸との連携体制
・患者への丁寧な説明と服薬支援
・地域における医薬品提供の継続性
・災害時・感染症流行時の供給対応体制
後発医薬品の使用割合という「量」ではなく、地域医療を止めないための体制・機能という「質」が評価対象になると考えられます。
つまり「後発医薬品を何%使っているか」ではなく、「地域で医薬品をどう守っているか」が、今後の薬局評価の軸となってくるでしょう。
後発医薬品体制加算は、調剤基本料に対する加算であり、多くの薬局にとって重要な収入源でした。
その廃止は、薬局の経営面での影響が避けられません。
一方で、地域支援・医薬品供給対応体制加算の評価が拡充されれば、
・在宅医療への対応
・地域連携の強化
・服薬フォローアップの質向上
といった取り組みが、新たな収益評価につながる可能性もあります。
令和8年度調剤報酬改定では、後発医薬品体制加算の廃止と地域支援・医薬品供給対応体制加算への転換を通じて、薬局の役割そのものが問い直されます。
制度改定を単なる減収リスクと捉えるのではなく、地域医療を支える存在としての価値を高める機会と捉えられるかどうか。
当然のことながら、薬剤師ひとりひとりの意識も変えなければ難しい場面であると考えられます。
それが、これからの薬局経営の分かれ道となるでしょう。






