まとめ
令和8年度調剤報酬改定では、調剤報酬の中でも基礎的な項目である「調剤管理料」が大幅に見直されました。 これまでの複雑な評価体系が整理される一方で、特に14日分処方の点数が大幅に引き下げられるなど、薬局経営に与える影響は決して小さくありません。 薬局現場・経営への影響、そして今後薬局に求められる対応はどうなっていくのでしょうか。 |
現行では、内服薬の調剤管理料は処方日数に応じて
・7日分以下:4点
・8〜14日:28点
・15〜28日:50点
・29日以上:60点
と4つの段階に分かれています。
令和8年度改定では以下の2区分に統合されました。
・長期処方(28日分以上):60点
・それ以外(27日分以下):10点
この見直しにより、これまで存在していた中間的な日数区分が廃止され、評価体系はシンプルな構造へと変わりました。
【参照】厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】41ページ より抜粋
今改定で最もインパクトが大きいのが、14日分処方の評価です。
14日分の処方に対する調剤管理料は28点でしたが、改定後は10点となり、
1剤あたり18点の減算
という大幅な引き下げが行われました。
単なる点数変更にとどまらず、薬局の経営自体を揺るがす、大きな変化と言えます。
なぜ、このような大幅な点数引き下げが行なわれたのか。
その背景には、以前より厚生労働省が打ち出している「対物業務から対人業務へのシフト」が影響していると思われます。
今までの調剤報酬は、処方日数や調剤行為そのもの、つまり対物への評価比重が高い構造となっていました。
しかし、今回の改定では、処方日数や調剤行為ではなく、患者に対してどのような価値を提供したか、という観点に移行しています。
調剤管理料の減算部分だけに着目すると、今改定が全体的にマイナスイメージととらえられがちですが、対人業務を評価する新たな加算が新設されています。
例えば、
・調剤時残薬調整加算(調剤管理料に対する加算)
調剤管理料を算定する患者であって、飲み残しや飲み忘れなどの残薬が確認された患者が対象。
患者やその家族等からの聞き取りに基づき残薬を確認し、処方医の指示または照会の結果、「7日分以上」相当の調剤日数変更を行った場合に算定可能。
※例外規定(6日分以下の調整):薬剤師が必要性を認め、処方医の指示等により「6日分以下」の調整を行った場合でも、その理由を調剤報酬明細書(レセプト)に記載すれば算定可能
イ:在宅患者への事前相談による調整:50点 (処方箋が交付される前に処方医と相談し、提案が反映された処方箋を受け付けた場合)
ロ:在宅患者に対する調剤日数の変更:50点 (イの場合を除き、調剤時に日数を変更した場合)
ハ:かかりつけ薬剤師による調整:50点 (イ・ロを除き、かかりつけ薬剤師が日数を変更した場合)
ニ:上記以外の場合(一般の調整):30点
・薬学的有害事象等防止加算(調剤管理料に対する加算)
調剤管理料を算定する患者であって、重複投薬や相互作用の防止など、処方医に確認(疑義照会)すべき点がある処方箋が交付された患者が対象。
・薬学的情報の活用:薬剤服用歴や電子処方箋システム等を用いた重複投薬チェックに基づき、適切な薬学的管理を行う必要がある
・処方医への照会と変更の実績:処方医に対して照会を行った結果、実際に処方の内容に変更が行われた場合に算定可能
・施設基準:適切な手帳(お薬手帳)の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局でないことが求められる
イ:在宅患者への事前相談による照会:50点 (処方箋が交付される前に処方医と相談し、提案が反映された処方箋を受け付けた場合)
ロ:在宅患者に対する処方変更:50点 (イの場合を除き、調剤時に処方が変更された場合)
ハ:かかりつけ薬剤師による照会・変更:50点 (イ・ロの場合を除き、かかりつけ薬剤師の照会により処方が変更された場合)
ニ:上記以外の場合(一般の処方変更):30点
これまでの「重複投薬・相互作用等防止加算」などは比較的一律的な評価でした。
今改定では「実際に介入して成果を出したかどうか」が評価のポイントになっています。
つまり、
・やっているだけでは評価されない
・結果を伴う介入が求められる
という、より実務に踏み込んだ評価体系へと進化しています。
今改定を踏まえると、薬局・薬剤師に求められる方向性は明確です。
本気の対人業務、つまり「どれだけ患者に関わったか」が評価される時代
に本格的に移行しています。
かかりつけ薬剤師機能を強化し、重複投薬の防止、残薬管理、継続的なフォローアップを実施する体制の構築が重要になります。
電子処方箋、マイナ保険証、オンライン資格確認システムにより、他処方の確認や重複チェック機能の精度向上など、今後は、医療DXを活用した薬学的管理がより重要になっていくと考えられます。
今回の調剤管理料の見直しは、単なる点数変更ではありません。
立地に依存した薬局から、かかりつけ機能を持つ地域薬局への転換を、より明確に促す改定となっています。
今後は、どれだけ患者に関わっているか、どれだけ医療の質向上に貢献しているかといった「機能」と「実績」が、薬局の評価を左右する時代になります。
薬局経営面では厳しい側面もありますが、見方を変えれば、「薬剤師ひとりひとりの専門性が正当に評価される方向への転換」とも言えるでしょう。
この変化をチャンスと捉え、対人業務の質を高めていくことが、これからの薬局・薬剤師に求められています。


