個人型確定拠出年金(iDeCo)は、将来の年金を自分で積み立てて運用する制度であり、最大の魅力の一つが「節税効果」です。
iDeCoでは掛金が全額所得控除の対象となるため、年収が高いほど節税効果が大きくなります。
しかし、具体的にどのくらいの節税効果があるのかは、年収によって異なります。
この記事では、年収別にiDeCoの節税効果を詳しく解説します。
1. iDeCoの節税メリットとは?
iDeCoの最大のメリットは、掛金が全額「所得控除」となることです。所得控除を受けることで、課税所得が減少し、その結果として所得税と住民税が軽減されます。掛金は毎月の収入から引かれるため、節税効果はその年の収入に対して即時に反映されます。さらに、運用益も非課税となり、将来的に受け取る際の税制優遇もありますが、今回は掛金の節税効果に焦点を当てて解説します。
2. 所得控除による節税効果の仕組み
iDeCoにおける節税効果は、以下の2つの税金に対して作用します。
- 所得税:所得控除額に基づいて税率が適用されます。日本の所得税は累進課税制度で、年収が高いほど税率が高くなります(5%から45%まで)
- 住民税:一律10%が課税されるため、年収にかかわらず同じ税率で控除効果が得られます。
これらの控除が、iDeCoの掛金に応じて適用されるため、年収が高いほど所得税の税率が高くなり、節税効果が大きくなります。
3. 年収別の節税効果シミュレーション
ここでは、年収別にiDeCoの節税効果をシミュレーションし、具体的な数字でどれだけ税金が軽減されるかを見ていきます。
例として、毎月の掛金を「1万2,000円」、年間で「14万4,000円」とした場合を想定します。
年収300万円の場合
年収300万円程度の方の場合、所得税の税率は「10%」です。
- 所得税の節税額:
14万4,000円(年間掛金) × 10%(所得税率)=14,400円 - 住民税の節税額:
14万4,000円 × 10%(住民税率)=14,400円
この場合、年間の節税効果は合計28,800円となります。
月額で計算すると、約2,400円の節税が実現できるということです。
年収500万円の場合
年収500万円の場合、所得税の税率は「20%」です。
- 所得税の節税額:
14万4,000円 × 20%=28,800円 - 住民税の節税額:
14万4,000円 × 10%=14,400円
この場合、年間の節税効果は合計43,200円となります。
月額では約3,600円の節税効果が得られます。
年収700万円の場合
年収700万円の場合、所得税の税率は「23%」です。
- 所得税の節税額:
14万4,000円 × 23%=33,120円 - 住民税の節税額:
14万4,000円 × 10%=14,400円
この場合、年間の節税効果は合計47,520円です。
月額にすると約3,960円の節税になります。
年収1,000万円の場合
年収1,000万円の方の場合、所得税の税率は「33%」です。
- 所得税の節税額:
14万4,000円 × 33%=47,520円 - 住民税の節税額:
14万4,000円 × 10%=14,400円
この場合、年間の節税効果は合計61,920円となります。
月額にすると約5,160円の節税効果が得られます。
年収1,500万円の場合
年収1,500万円以上になると、所得税の税率は「40%」です。
- 所得税の節税額:
14万4,000円 × 40%=57,600円 - 住民税の節税額:
14万4,000円 × 10%=14,400円
この場合、年間の節税効果は合計72,000円です。
月額では約6,000円の節税が実現します。
4. 節税効果を最大限に引き出す方法
iDeCoの節税効果は、掛金を最大限に活用することでより大きくなります。
例えば、iDeCoの掛金の上限は加入者の属性によって異なりますが、サラリーマンの場合、月額2万3,000円が上限となります。
この上限まで掛金を設定することで、節税効果もさらに高まります。
例えば、年収700万円の方が、月2万3,000円(年間27万6,000円)の掛金を拠出した場合の節税効果を見てみましょう。
- 所得税の節税額:
27万6,000円 × 23%=63,480円 - 住民税の節税額:
27万6,000円 × 10%=27,600円
この場合、年間の節税効果は合計91,080円となり、約9万円もの税負担が軽減されます。
5. 注意点
iDeCoの節税効果は非常に魅力的ですが、いくつかの注意点もあります。
- 途中解約ができない:iDeCoは原則60歳まで引き出すことができません。したがって、長期的な資産形成を前提に、余裕のある資金で積み立てることが重要です。
- 手数料の負担:iDeCoには、口座開設時や運用中に手数料がかかります。ただし、この手数料は節税効果に比べると大きくはなく、節税メリットの方が上回ることが多いです。
6. まとめ
iDeCoは、年収に応じて節税効果が異なり、特に所得が高いほどその効果が大きくなります。
毎月の掛金はすべて所得控除の対象となり、所得税と住民税の負担を軽減することで、将来の資産形成に加えて、即時的な税負担の軽減も実現できます。
年収ごとに節税効果をしっかり理解し、上手に活用することで、iDeCoの最大のメリットである節税を効果的に享受できるでしょう。
追伸 今回は毎月の掛金を1万2,000円で試算していますが、iDecoの場合は毎月2万3,000円まで引き上げることができます。 iDecoは運用による損失が出る可能性があるのですが、よく考えてみると、拠出するだけで所得税率分の節税効果が間違いなく得られるため、所得税率分の運用利回りが確実に得られる商品であるということです。この所得税率分の利回りは年末調整や確定申告によって還付されるため積み上がっていかないものの、これを考慮して運用利回りを考える必要があります。 所得税率分の運用利回りが確定しているわけですから、リスクのある商品の配分を増やすという選択肢もありますし、所得税率分の運用利回りがあるので、元本保証型の商品にするという選択もありますね。 所得税率分の節税効果があるということを、理解しておきたいですね! |
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