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損益通算と繰越控除とは?投資で活用したい節税テクニック

    資産運用で利益を上げると税金がかかりますが、うまく活用すれば節税効果が得られる仕組みもあります。
    特に「損益通算」と「繰越控除」は、投資における税負担を軽減する重要なテクニックです。
    この記事では、この2つの制度の基本的な仕組みと具体的な活用法について解説します。

    1. 損益通算とは?

    損益通算とは、利益と損失を相殺して課税額を減らすことができる制度です。
    例えば、株式の売買によって利益が出た場合、その利益に課税されますが、他の投資で損失が出ていれば、その損失分を引き算することができるため、課税対象額が減少します。

    損益通算の主な対象は、同じ所得区分内で発生した損益です。
    以下の区分において損益通算が行えます。

    • 株式や投資信託の譲渡所得:上場株式や投資信託、ETFの譲渡益(売却による利益)は、他の株式などの譲渡損失と通算可能です。
    • 配当所得:株式や投資信託の配当所得は、譲渡損失と通算することが可能です。

    例えば、ある年に上場株式で10万円の利益が出た一方で、別の株式で5万円の損失があった場合、損益通算により10万円から5万円を差し引いた5万円が課税対象額となります。
    こうすることで、利益にかかる税金が抑えられ、資産形成の加速が期待できます。

    2. 損益通算のメリット

    メリット1:税負担の軽減

    損益通算を行うことで、最終的な課税所得が減少するため、納税額を抑えられるというメリットがあります。
    特に、同じ年に複数の投資を行っており、一部の投資で損失が出た場合、損益通算により税負担を軽減できる可能性があります。

    メリット2:投資ポートフォリオのリバランスがしやすくなる

    損益通算を活用することで、含み損のある資産を売却しても、その損失を他の利益と相殺できるため、損失のリスクを抑えつつポートフォリオのリバランスが行いやすくなります。
    これにより、運用効率を高めるための柔軟な投資戦略がとりやすくなります。

    3. 繰越控除とは?

    繰越控除とは、損益通算を行ったうえで相殺しきれない損失が残った場合に、その損失を翌年以降に繰り越し、最大3年間まで繰り越して次年度以降の利益と相殺できる制度です。
    これにより、損失が出た年にその損失を相殺しきれなかった場合でも、翌年以降に利益が出た際に再び相殺して課税対象を減らすことが可能となります。

    例えば、ある年に株式取引で30万円の損失が出たとしましょう。
    その年の利益が20万円であれば、損益通算をしてもまだ10万円の損失が残ります。
    この残りの10万円は繰越控除の対象となり、翌年以降の利益から差し引くことができます。

    4. 繰越控除の活用条件

    繰越控除を活用するためには、確定申告が必要です。
    特に注意が必要なのは、損失が出た年から翌年以降も繰り越して控除を受ける場合には、連続して確定申告を行う必要があることです。
    1年でも申告を怠ると繰越控除の権利を失ってしまうため、忘れずに申告を続けることが大切です。

    また、繰越控除が適用されるのは「譲渡所得」に対しての損失であり、配当所得には適用されない点にも注意しましょう。

    5. 損益通算と繰越控除の活用例

    例1:損益通算の活用例

    例えば、2024年に株式Aで20万円の利益、株式Bで10万円の損失が出た場合、損益通算により10万円の利益に対してのみ課税されます。
    税率が20.315%の場合、課税額は約2万円ほど軽減されるため、より効率的な資産形成が可能です。

    例2:繰越控除の活用例

    2024年に株式Cで50万円の損失が発生したとします。
    その年に相殺できる利益がなかった場合、50万円全額を翌年以降に繰り越せます。
    2025年に株式Dで30万円の利益が発生した場合、50万円の損失のうち30万円分を相殺し、課税対象額は0円に。
    さらに、残りの20万円の損失を翌年に繰り越せるため、2026年に発生した利益からも控除することが可能です。

    6. 損益通算・繰越控除の注意点

    注意点1:適用される損益の種類に注意

    損益通算や繰越控除が適用されるのは、主に「株式や投資信託の譲渡所得」に対する損益です。
    給与所得や不動産所得など他の所得とは通算できないため、投資利益と投資損失のみに適用される点に注意が必要です。

    注意点2:確定申告を忘れずに行う

    繰越控除の適用には、初年度から毎年確定申告を行う必要があります。
    申告を怠ると控除の権利を失うため、損失が発生した年以降は必ず申告を継続することが重要です。
    また、確定申告時に控除を受けるためには、税務署に提出する「株式譲渡損失申告書」などの書類も必要となりますので、必要な書類を事前に確認しておきましょう。

    注意点3:金融商品による損益通算の違い

    損益通算は、株式や投資信託などの譲渡所得同士で適用されるため、FXや先物取引など異なる商品間では通算できない場合があります。
    金融商品の特性を理解し、適用範囲を確認することが大切です。

    まとめ

    損益通算と繰越控除は、投資家にとって大きな節税効果をもたらす制度です。
    損益通算によって損失を他の利益と相殺でき、繰越控除を活用することで複数年にわたる損失の相殺が可能です。
    ただし、これらの制度を効果的に利用するためには、適用対象や申告方法などの条件をしっかり把握しておく必要があります。

    特に、繰越控除を活用する場合には連続した確定申告が必須ですので、損失が発生した年から忘れずに申告を行い、長期的な資産形成において節税の効果を最大限に引き出しましょう。

    追伸

    損益通算と繰越控除は、給与所得者では面倒な確定申告が必要となりますが、フリーランス薬剤師の皆さんは、すでに確定申告が必要であるため、この確定申告時に一手間加えるだけで、利用できます。

    これを利用しないと、過去の損失を損失のままで終わらせることになります。
    一方で、これを利用することで、過去の損失を節税のタネとして活用することができます。

    少し複雑ですし、投資商品の組み合わせによっては損益通算できないものもあるため、注意が必要です。

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