まとめ
令和6年10月1日より、選定療養費の徴収が始まります。 本年6月1日より施行された調剤報酬改定の中でも、注目された改定内容のひとつです。 既に、患者向けの選定療養の説明を開始している医療機関もあるかと思います。 |
まず、選定療養費の計算方法については、以下のような方法になります。
長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養における費用の計算方法について 厚生労働省保険局医療課
事務連絡 令和6年7月12日 より引用
医薬品の価格の部分については、厚生労働省のマスタで随時更新されています。
※参考サイト:長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養の対象医薬品について(対象医薬品リスト)
選定療養については、令和6年6月18日に発出された「疑義解釈資料の送付について(その8)」の中で
疑義解釈資料の送付について(その8)厚生労働省保険局医療課 事務連絡 令和6年6月18日 より引用
必要な説明を行なった場合に、特定薬剤管理指導加算3の「ロ」を算定可能とされていました。
(過去記事:【令和6年度調剤報酬改定】特管3の「ロ」、選定療養についても算定可能)
こういった背景もあり、既に医療機関で説明を受けて周知されていることもあると思います。
選定療養の導入前に、患者が経済的な負担や医療上の必要性など、十分な検討を行なう期間が設けられたと考えられます。
一方で、説明を受ける機会がなかった患者や、準備が間に合わず、選定療養の導入直前、もしくは導入開始と同時に説明を行なう医療機関も少なからずあることでしょう。
表向きは「患者に特別な料金が発生する」という、経済面に注視されがちです。
しかし、医療上の必要性、後発医薬品に変更することで、適切な医療の提供が維持されるのかといった不安点があります。
また、昨今の医薬品供給不安による欠品など、医療現場が抱える様々な問題があることから、個々の医療機関および患者により対応が分かれてくると思われます。
医療上の必要性に応じて先発医薬品を選択されている場合もありますので、様々な角度から考える必要が出てきそうです。
選定療養の導入後は、経済的な負担の部分だけではなく、先発医薬品と後発医薬品の違いなど、医療上の部分についても、薬剤師からの十分な情報提供を行なう必要が出てくると思われます。
・特別な料金が発生した場合の増額分
・先発医薬品→後発医薬品に変更した場合の差額
・後発医薬品に変更する場合の、医療上のメリット・デメリット
など、個々の患者背景により、不安点、疑問点は違ってくると思います。
特定薬剤管理指導加算3の「ロ」は、こういった個々の患者対応における対人業務に対する評価であると考えられます。
薬剤師にとって、理想とする医療を提供することは大前提ですが、個々の患者の事情を汲み取り、経済的な負担も考慮しなければなりません。
負担増のために治療を続けられなくなった・・・ともなれば本末転倒です。
あくまでも、先発医薬品もしくは後発医薬品のどちらを選択するのか、最終的に判断するのは患者本人です。
薬剤師は、最善の選択ができるよう、適切な情報提供を行なうことが責務となります。
薬剤師業務が対物業務から対人業務へシフトしてきている今、何が必要とされているのか、どのような説明をすれば理解を得られるのか、個々の患者の背景を見極めた上での説明が求められるでしょう。