まとめ
1月26日、中央社会保険医療協議会より令和6年度 診療報酬改定の短冊が公開されました。 令和6年度診療報酬改定は、医療DXの推進による医療機関・薬局や、改定に対応するシステムベンダーの負担を軽減するため、例年より2か月後ろ倒しの6月1日に施行されます。 今回、医療用医薬品供給体制についても配慮した改定がなされました。 |
医薬品供給不安は、ジェネリックメーカーの不祥事やコロナ禍による原材料の仕入れ困難などから、数年単位で続いています。
特に、風邪薬や咳止め、漢方薬などの欠品が相次ぎ、医療現場の悩みの種となっています。
令和6年元日に発生した能登半島地震も、医薬品供給に打撃を与えました。
(過去記事:能登半島地震、医薬品供給に打撃)
薬剤調製料の加算のひとつ、嚥下困難者用製剤加算と自家製剤加算は
「嚥下困難者用製剤加算に係る評価を廃止して、飲みやすくするための製剤上の調製を行った場合の評価を自家製剤加算における算定のみとする」
令和6年1月26日 中央社会保険医療協議会 総会(第581回)議事次第 個別改定項目(その1)について 662-663ページより引用
とされ、自家製剤加算に一本化されました。
自家製剤加算は
「調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている場合」
算定要件を満たさないものとされています。
今改定では
「当該医薬品が薬価基準に収載されている場合であっても、供給上の問題により当該医薬品が入手困難であり、調剤を行う際に必要な数量を確保できない場合は除く」
令和6年1月26日 中央社会保険医療協議会 総会(第581回)議事次第 個別改定項目(その1)について 662-663ページより引用
「医薬品の供給上の問題により当該加算を算定する場合には、調剤報酬明細書の摘要欄には調剤に必要な数量が確保できなかった薬剤名とともに確保できなかったやむを得ない事情を記載すること」
という部分が追加されました。
今までにも、自家製剤加算の算定可否に関わらず、医薬品供給不足が原因で粉砕や脱カプセル調剤を行なう選択をした薬剤師は多いのではないでしょうか。
目の前にいる患者さんに対して不利益が生じないよう、寄り添い、向き合った結果だと言えます。
しかし、自家製剤加算が算定できるという安易な考えで行なえるものではありません。
粉砕・脱カプセル可否の判断や、個々の患者さんのニーズに合わせた調剤を行なうのは薬剤師であり、薬剤師としての現場での対応力は、より一層求められると思います。