冬は“やけど”が増える季節。その理由とは? 冬は、年間を通してやけどの発生が最も多くなる時期です。 その背景には、気温が下がる冬ならではの生活環境が関係しています。 ・ストーブ・ヒーターに触れて起こる接触やけど ・鍋・お湯・調理中の蒸気による高温やけど ・加湿器の蒸気やカイロによる低温やけど 冬は気温の低下により衣類が厚くなる一方で、暖房器具や熱い飲食物に触れる機会が増えるため、日常のほんの小さな動作でもやけどが起こりやすくなります。 やけどの重症度はどう見分ける?Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度の特徴と受診の目安 やけどは、見た目が似ていても深さによって治療法が大きく変わるため、まずは重症度を正しく見極めることがとても重要です。 ・Ⅰ度(表皮のやけど) 赤み・ヒリヒリ感がある軽度のやけど → 家庭でのケアで回復することが多い ・浅いⅡ度(浅達性Ⅱ度) 水ぶくれ(水疱)がみられる状態 → 感染予防のため、基本的には受診がおすすめ ・深いⅡ度(深達性Ⅱ度) 痛みが強く、皮膚が白っぽくなることもある → 治療が必要なため受診推奨 ・Ⅲ度(皮膚の深部まで達するやけど) 皮膚が白色〜黒色に変色し、むしろ痛みが少ないことがある → 早急な医療機関受診(救急受診)が必要 市販薬でできるやけどケア|症状に合わせた選び方と注意点 ・ワセリン(Ⅰ度の軽いやけどに) 皮膚を保護し、水分の蒸発を防ぐため、赤みやヒリヒリ感のある表皮のやけどに適している ・ヘパリン類似物質(炎症後の保湿ケアに) Ⅱ度の治りかけなど、皮膚が乾燥してきたタイミングでの保湿ケアに有効 ※水ぶくれがある急性期には使用を避ける ・アロエ軟膏・抗炎症成分配合の外用薬(Ⅱ度の一部で使用) 軽度の炎症を抑える作用がありますが、水ぶくれが大きい場合や、深いやけどには不向き 水ぶくれが破れた場合や痛みが強い場合、皮膚が白っぽく見える場合、さらに顔や手のひら・関節など広範囲に及ぶやけどは、市販薬での対応が難しいサインです。 こうした症状があるときは、悪化や感染を防ぐためにも、早めに医療機関を受診することが重要です。 冬のやけどで大切な基本対応 ・「冷やす → 覆う → 受診目安を知る」が応急処置の基本 すぐに流水で冷やし、清潔なガーゼで覆い、症状に応じて受診を判断する ・子どものやけどは早めの判断 子どもは皮膚が薄く重症化しやすいため、小さなやけどでも早めに医療機関へ相談を ・市販薬でケアする場合の注意点 Ⅰ度(赤み・軽い痛み)ならワセリンなどで保護できますが、水ぶくれ・白っぽい変色がある場合は市販薬では対応が難しい ・冬に多い原因と予防策を理解して事故を防ぐ ストーブとの距離、加湿器の蒸気、鍋・お湯の扱い方、子どもの手の届く場所など、日常の工夫でやけどを予防 やけどは、初期対応のわずかな違いで治り方が大きく変わることがあります。 一見軽いように見える赤みだけの場合でも、広がり方や痛みの強さによっては早めの相談が必要です。 また、水ぶくれがある・白く見える・痛みが弱いのに症状が広いといった場合は、深いやけどのサインかもしれません。 自己判断で処置を続けると、跡が残ったり、感染が進んでしまうリスクもあります。 不安を感じたときは、医療機関やお近くの薬局に早めに相談いただくことが安心への近道です。 
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